Treatments
性感染症
性感染症は、早期に発見して、治療を受けることが大切です。特に、性器クラミジア感染症は、約9割が10代~30代で、その6割以上が女性となっています。症状に当てはまるものがあれば、早めに医療機関を受診しましょう。
このページでは、性感染症の種類や症状、原因や予防方法などを詳しく紹介します。
性感染症の症状について
性感染症は、初期には自覚症状が出にくい場合も多く、気づかないまま進行してしまうことがあります。症状が出る場合も、感染する病原体によって異なり、見逃されやすいのが特徴です。
性感染症に見られる主な症状
無症状のことも多くありますが、下記のような症状が出ることがあります。
- 性器のかゆみや痛み
- おりものの増加(色・においの変化、ヨーグルト状/酒粕状)
- 性交痛
- 不正出血
- 排尿時の痛みや違和感
- のどの痛み
- 発熱や全身の倦怠感
- 身体に発疹やブツブツが出る
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梅毒
梅毒は、細菌感染によって引き起こされる性感染症です。主に性行為によって感染しますが、まれに母子感染もあります。感染すると、初期には特徴的な潰瘍ができますが、痛みがないため気づきにくいことがあるため、注意が必要です。さらに進行すると発疹や発熱などの症状が現れ、放置すると重篤な合併症を引き起こすこともあります。
症状
感染後、数週間から数ヶ月の潜伏期間を経て、様々な症状が現れます。
・初期: 感染部位(性器、口など)に痛みのないしこりや潰瘍ができます。
・中期: 全身に発疹が現れます。手のひらや足の裏に出ることが多く、かゆみを伴わないこともあります。
・後期: 治療せずに放置すると、心臓、血管、脳などに障害が現れ、神経梅毒や心臓血管梅毒などを引き起こすことがあります。
原因
梅毒は、梅毒トレポネーマという細菌に感染することで発症します。主に性行為によって感染しますが、まれに輸血や母子感染(妊娠中の女性から胎児への感染)もあります。
淋菌感染症(淋病)
淋菌感染症(淋病)は、性行為によって感染する細菌性の感染症です。排尿時の痛みやおりものの増加など、様々な症状が現れます。放置すると、不妊や重篤な合併症を引き起こす可能性もあるため、早期発見・早期治療が大切です。
症状
男女でそれぞれ以下のような症状が現れ、女性の場合は無症状のケースもあります。
男性:排尿時の痛み、尿道からの膿、頻尿など
女性:おりものの増加、性交痛、不正出血など
放置すると、男性は前立腺炎や精巣上体炎、女性は骨盤内炎症性疾患(PID)などを引き起こす可能性があります。
原因
淋菌という細菌が性行為によって感染することで起こります。感染部位は性器だけでなく、喉や肛門にも及びます。
性器クラミジア感染症
性器クラミジア感染症は、日本で最も多い性感染症です。性行為によって感染し、男女ともに感染しますが、特に若い女性に多く見られます。自覚症状がない場合も多く、感染に気づかないうちにパートナーに感染させてしまう可能性があります。放置すると、男女ともに不妊の原因となることもあるため、注意が必要です。
症状
男女でそれぞれ異なる症状が現れ、女性の場合は無症状のケースもあります。
男性:排尿時の痛み、尿道からの分泌物、かゆみなど
女性:おりものの増加、性交痛、不正出血など
放置すると、男性は尿道炎や精巣上体炎、女性は骨盤内炎症性疾患(PID)などを引き起こす可能性があります。不妊の原因となることもあります。
原因
クラミジア・トラコマティスという細菌が性行為によって感染することで起こります。感染部位は性器だけでなく、喉や肛門にも及びます。
性器ヘルペス
性器ヘルペスは、性器やその周辺に水疱や潰瘍ができる性感染症です。単純ヘルペスウイルスが原因で、一度感染すると症状を繰り返すことがあります。痛みやかゆみを伴うことが多く、再発の可能性もあります。性行為経験のある方は、誰でも感染する可能性があります。
症状
性器や肛門周辺に、かゆみや痛みを伴う水疱ができます。水疱が破れると潰瘍になり、さらに痛みを伴います。初感染時には発熱やリンパ節の腫れを伴うこともあります。再発を繰り返しやすいのも特徴です。
原因
単純ヘルペスウイルス(HSV)の感染によって起こります。性行為だけでなく、オーラルセックスや、性器に触れた手で他の場所に触れることでも感染する可能性があります。
尖圭コンジローマ
尖圭コンジローマは、性感染症の中でも比較的よく見られる疾患です。自覚症状がない場合もありますが、放置するとパートナーにも感染させてしまう可能性があるため、注意が必要です。
症状
性器や肛門周辺に、鶏のトサカやカリフラワーのようなイボができます。痛みやかゆみはほとんどありませんが、放置すると大きくなったり数が増えたりすることがあります。
原因
尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって起こる性感染症です。性行為や、まれに分娩時に母親から赤ちゃんに感染することがあります。
トリコモナス
トリコモナス症は性行為で感染する寄生虫感染症です。女性は泡状で悪臭のあるおりものやかゆみが主な症状ですが、男性は無症状が多いです。放置すると女性は骨盤内炎症性疾患、男性は前立腺炎などを引き起こす可能性があります。
症状
男女で症状が異なり、それぞれ以下のような症状が現れます。
女性:おりものの増加、泡状のおりもの、悪臭、かゆみ、性交痛など
男性:排尿時の痛み、尿道からの分泌物など。無症状の場合もあります。
放置すると、女性は骨盤内炎症性疾患(PID)などを引き起こす可能性があります。
原因
トリコモナス原虫という寄生虫が性行為によって感染することで起こります。性器だけでなく、喉や肛門にも感染することがあります。
性器カンジタ
性器カンジダ症は、カンジダという真菌(カビ)が性器に感染することで起こります。女性はかゆみやおりものの変化、男性は亀頭の炎症などが主な症状です。性行為以外でも、体調不良や免疫力低下などが原因で発症することもあります。
症状
男女で症状が異なり、それぞれ以下のような症状が現れます。
女性:外陰部のかゆみ、おりものの増加(ヨーグルト状、酒粕状)、性交痛、排尿痛など
男性:亀頭の発赤、かゆみ、白いカス、排尿痛など
症状には個人差があり、無症状の場合もあります。
原因
性器カンジダは、カンジダ菌という真菌(カビ)が性器周辺で異常繁殖することで起こります。性行為による感染だけでなく、自己感染も多いです。
HIV(エイズウィルス)
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)は、免疫細胞に感染して体の抵抗力を低下させるウイルスです。感染が進行すると「後天性免疫不全症候群(AIDS)」を発症し、健康な人であれば問題のない軽度の感染症やがんにかかりやすくなります。HIVは感染初期には自覚症状が少ないため、早期の検査と治療が非常に重要です。
症状
HIV感染直後は、風邪に似た一過性の症状が現れることがありますが、その後は長期間ほとんど無症状で経過します。
・急性期(感染から2〜4週間後):発熱、倦怠感、のどの痛み、リンパ節の腫れ、発疹など。風邪やインフルエンザと区別がつきにくいのが特徴です。
・無症候期(数年〜10年以上続くことも):自覚症状はほとんどありませんが、体内では免疫細胞(CD4陽性Tリンパ球)が徐々に減少しています。
・エイズ発症期:免疫力が極端に低下し、日和見感染症(カンジダ症、肺炎、結核など)や悪性腫瘍(カポジ肉腫、悪性リンパ腫など)が出現します。
原因
HIVは感染者の血液や体液に含まれるウイルスが体内に入ることで感染します。具体的な感染経路は以下の通りです。
・性行為による感染(膣性交・肛門性交・口腔性交など)
・輸血や注射器の使い回し
・母子感染(妊娠中・出産時・母乳授乳)
日常生活での接触(握手・会話・入浴・食事の共有など)では感染しません。
性感染症の予防
性感染症を予防する上で、最も重要なのはコンドームの正しい使用です。 サイズが合っているものを選び、破れたり外れたりした場合は、すぐに性行為を中止しましょう。潤滑剤を併用することで、より安全に利用できます。さらに、性器を清潔に保つことも大切です。 これらの対策を心掛けることで、性感染症のリスクを大幅に減らすことができます。
性感染症の受診の目安
性感染症を疑う症状がある場合は、早めに医療機関を受診し、検査を受けましょう。早期の発見と治療は、合併症や後遺症を防ぎます。 多くの性感染症は初期症状が乏しい、あるいは他の病気と似た症状が出るため、自己判断せず、医療機関で治療を最後まで続けることが大切です。
もし、検査の結果、性感染症に感染していることが判明した場合には、パートナーにも検査を受けてもらい、必要であれば一緒に治療を受けることをおすすめします。 相互に感染させ合う可能性があるため、パートナーへの配慮も大切です。
性感染症に関するQ&A
性感染症は治りますか?
多くの性感染症は、適切な治療によって完治します。
一度かかると再発しますか?
ほとんどの性感染症は、感染しても免疫ができないため、複数回感染する恐れがあります。治療が完了した後も、性感染症の予防に気をつけなければなりません。
性行為をしなくても性感染症になることがあるのでしょうか?
性感染症の種類によっては、性行為をしなくても性感染症になることがあります。ごく稀ですが、以下のようなケースで感染の可能性があります。
・感染している人とのタオルや下着などの共有による感染
・カミソリや注射器の共用により感染(血液により感染する性感染症の場合)
・胎児や新生児への感染(母親が感染している場合)
性感染症は、1回の性行為でもうつりますか?
相手が性感染症に感染していれば、1回の性行為でもうつることがあります。病気によって、感染力が違いますが、誰でも感染する可能性があります。

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